くらべて原子力

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【第6条・自然現象】洪水による影響評価|女川原発~川内原発まで比較

原発の設置許可基準規則の第6条(外部からの衝撃による損傷の防止)の自然現象のうち「洪水による影響評価」について、東北電力の女川原発、東京電力の柏崎刈羽原発、日本原電の東海第二原発、関西電力の美浜原発、大飯原発、高浜原発、四国電力の伊方原発、中国電力の島根原発、九州電力の玄海原発、川内原発の取り組みを紹介します。

各原発の自然現象の「洪水による影響評価」について知りたい方は、参考にしてみてください。

規則要求の内容を確認!なにが求められているのか整理が必要!

原発では、設置許可基準規則や規則の解釈、審査ガイドなどにしたがい、条文を構成する項ごとに以下の取り組みを行い安全を確認しており、「洪水による影響評価」は下線で示している取り組みのうちのひとつです。

設計基準事故の規則要求 重大事故の規則要求 取り組み① 取り組み②
設置許可基準規則
第6条第1項、第6条第2項
「外部ハザードの抽出」 「自然現象の検討・評価」
設置許可基準規則
第7条第3項
「人為事象の検討・評価」
設置許可基準規則
第7条第4項~第7項
-
(兼用キャスクに対する要求)

 

 

原発はほんとうに要求どおりなの?原発の取り組みを紹介!

ここでは、「洪水による影響評価」について、女川原発、柏崎刈羽原発、東海第二原発、美浜原発、大飯原発、高浜原発、伊方原発、島根原発、玄海原発、川内原発で行われている取り組みをそれぞれ見ていきましょう。

女川原発|東北電力

女川原発から12kmのところには北上川があり、氾濫などにより発生する洪水により影響を受けるおそれがあります。

女川原発は、湾と丘陵地に囲まれ河川から隔てられていることから、洪水の影響を受けないことを確認しています。

東海第二原発|日本原電

東海第二から2kmのところには久慈川が、3kmのところには新川があり、氾濫などにより発生する洪水により影響を受けるおそれがあります。

東海第二は、百年に1度の大雨による久慈川の氾濫を考慮しても、防災マップなどから浸水の影響がないため、洪水の影響を受けないことを確認しています。

また、原発は、新川からは丘陵地により隔てられていることから、洪水の影響を受けないことをあわせて確認しています。

なお、原発では、自治体の防災マップなどから、原発の敷地が洪水の被害を受けないことを確認しています。

美浜原発|関西電力

美浜原発から1.5kmのところには落合川が、2.5kmのところには馬背川があり、氾濫などにより発生する洪水により影響を受けるおそれがあります。

美浜原発は、落合川から入り江を挟んだ対岸にあるため、洪水の影響を受けないことを確認しています。

また、原発は、馬背川から入り江を挟んだ対岸にあるため、洪水の影響を受けないことをあわせて確認しています。

なお、原発では、自治体の防災マップなどから、原発の敷地が洪水の被害を受けないことを確認しています。

大飯原発|関西電力

大飯原発から7kmのところには佐分利川があり、氾濫などにより発生する洪水により影響を受けるおそれがあります。

大飯原発は、日本海と山に囲まれ佐分利川から隔てられていることから、洪水の影響を受けないことを確認しています。

なお、原発では、自治体の防災マップなどから、原発の敷地が洪水の被害を受けないことを確認しています。

高浜原発|関西電力

高浜原発の近くには才谷川が、5kmのところには関谷川があり、氾濫などにより発生する洪水により影響を受けるおそれがあります。

高浜原発は、敷地内の山により才谷川から隔てられていることから、洪水の影響を受けないことを確認しています。

また、原発は、関谷川から敷地内の山により隔てられていることから、洪水の影響を受けないことをあわせて確認しています。

なお、原発では、自治体の防災マップなどから、原発の敷地が洪水の被害を受けないことを確認しています。

伊方原発|四国電力

伊方原発から1.7kmのところには伊方ダムが、2.3kmのところには亀ヶ池があり、氾濫などにより発生する洪水により影響を受けるおそれがあります。

伊方原発は、丘陵地により伊方ダムから隔てられていることから、洪水の影響を受けないことを確認しています。

また、原発は、亀ヶ池から丘陵地により隔てられていることから、洪水の影響を受けないことをあわせて確認しています。

なお、原発では、自治体の防災マップなどから、原発の敷地が洪水の被害を受けないことを確認しています。

島根原発|中国電力

島根原発から2kmのところには佐陀川が、7kmのところには宍戸湖があり、氾濫などにより発生する洪水により影響を受けるおそれがあります。

島根原発は、日本海と山に囲まれ佐陀川から隔てられていることから、洪水の影響を受けないことを確認しています。

また、原発は、宍道湖から日本海と山に囲まれ隔てられていることから、洪水の影響を受けないことをあわせて確認しています。

なお、原発では、自治体の防災マップなどから、原発の敷地が洪水の被害を受けないことを確認しています。

玄海原発|九州電力

玄海原発の敷地内には八田浦貯水池があり、氾濫などにより発生する洪水により影響を受けるおそれがあります。

玄海原発は、敷地内の八田浦貯水池の崩壊を考慮しても、水の流出経路上に原発の施設がないため、洪水の影響を受けないことを確認しています。

なお、原発では、自治体の防災マップなどから、原発の敷地が洪水の被害を受けないことを確認しています。

川内原発|九州電力

川内原発の近くには川内川があり、氾濫などにより発生する洪水により影響を受けるおそれがあります。

川内原発は、百年に1度の大雨による川内川の氾濫を考慮しても、防災マップなどから浸水の影響がなく、洪水の影響を受けないことを確認しています。

 

 

原発の取り組みのまとめ【第6条の洪水による影響評価】

ここでは、各原発の洪水による影響評価について、洪水を想定している河川などとそこからの距離、説明ロジックと評価結果をまとめました。参考にしてみてください。

原発 水源
(敷地までの距離)
洪水影響を受けないとする概略ロジック 確認・評価結果
女川 北上川
(17km)
山、丘陵地などで隔絶 影響なし
東海第二 久慈川
(2km)
浸水影響評価でOK 影響なし
新川
(3km)
山、丘陵地などで隔絶
美浜 落合川
(1.5km)
山、丘陵地などで隔絶 影響なし
馬背川
(2.5km)
山、丘陵地などで隔絶
大飯 佐分利川
(7km)
山、丘陵地などで隔絶 影響なし
高浜 才谷川
(0km)
山、丘陵地などで隔絶 影響なし
関谷川
(5km)
山、丘陵地などで隔絶
伊方 伊方ダム
(1.7km)
山、丘陵地などで隔絶 影響なし
亀ヶ池
(2.3km)
山、丘陵地などで隔絶
島根 佐陀川
(2km)
山、丘陵地などで隔絶 影響なし
宍道湖
(7km)
山、丘陵地などで隔絶
玄海 八田浦貯水池
(0km)
氾濫経路上に原発の施設がない 影響なし
川内 川内川
(0km)
浸水影響評価でOK 影響なし

参考資料として利用した文献一覧

ここでは、参考資料として利用した文献一覧をまとめました。以下のとおりです。

女川原発:令和2年2月7日_ヒアリング(資料1-17【PDF: 6.3MB】)

東海第二原発:平成30年09月18日_ヒアリング(資料3-5【PDF: 37.8MB】)

美浜原発:平成28年06月08日_ヒアリング(資料8【PDF : 27MB】)

大飯原発:平成29年02月07日_ヒアリング(資料8【PDF : 23MB】)

高浜原発:平成28年04月13日_ヒアリング(資料11【PDF : 33MB】)

高浜原発:平成28年04月13日_ヒアリング(資料12【PDF : 34MB】)

高浜原発:平成28年04月13日_ヒアリング(資料13【PDF : 34MB】)

高浜原発:平成28年04月13日_ヒアリング(資料14【PDF : 35MB】)

伊方原発:平成27年05月19日_ヒアリング(資料【PDF : 6MB】)

島根原発:令和3年09月06日_ヒアリング(資料7(1/4)【PDF: 28.0MB】)

島根原発:令和3年09月06日_ヒアリング(資料7(2/4)【PDF: 28.7MB】)

玄海原発:平成29年01月18日_ヒアリング(資料4【PDF : 3MB】)

川内原発:平成26年9月8日_ヒアリング(資料【PDF:14.3MB】)

川内原発:平成26年9月8日_ヒアリング(資料【PDF:13.7MB】)

 

 

本記事は原発の新規制基準施行後の最初の設置許可の情報やヒアリング資料を主に参考にしており、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

また、当サイトに掲載している情報は、万全の保証をいたしかねます。原発の詳細な情報は、必ず各電力会社または原子力規制委員会の公式サイトでご確認ください。