原発の新規制基準を紹介します。
原発の新規制基準について知りたい方は、参考にしてみてください。
新規制基準とは:原発の運転や新設などができるかどうか判断するための新しいルール
原発の新規制基準とは、原発が安全に運転するために守らなければならない、原発の運転や新設などができるかどうか判断するための新しいルールです。
このルールは、2011年に起きた東日本大震災と福島第一原発の事故を教訓にして、2013年に作られました。
新規制基準では、原発が大きな地震や津波に耐えられるように、建物や設備を強化することが求められます。
また、原発が事故を起こしたときに、原発のなかの放射性物質が原発の外に出ないようにするための対策も強化されました。
原発はこのルールに基づき、おおきく3つにわかれたステップに合格することができなければ、原発を再び運転することや新しく作ることができません。
合格に必要な3つのステップ!もっとも重要なのは最初のステップ!?
原発では、確実に安全を守るために段階的な安全規制を取り入れています。
原発の段階的な安全規制は、つぎの3つのステップにわかれており、それぞれのステップにそれぞれのルールがあります。
- 最初のステップ:基本設計(「設置(変更)許可の審査」)
- つぎのステップ:詳細設計(「工事計画又は設計及び工事の方法の審査」)
- 最後のステップ:運転管理(「保安規定の審査」)
段階的な安全規制では、最初のステップが後ろのステップでの設計などを制限し、最初のステップで決められた範囲のなかでしか設計などができなくなることから、「基本設計」という最初のステップがもっとも重要だとかんがえて、本ブログでは主に「基本設計」について解説することにしています。
原発の「基本設計」のルールは、「実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則」といい、原発の設置についての許可のためのルールであることから「設置許可基準規則」と呼ばれています。
「設置許可基準規則」についてわかりやすく解説!
「基本設計」のルールである「設置許可基準規則」は、「設計基準事故」「重大事故等」の2つのステージにわかれており、 「設計基準事故」では34の細かいルール、 「重大事故等」では26の細かいルールがあります。
これらの細かいルールをまもって設計していることを説明することができれば、「基本設計」の新規制基準をクリアすることができ、原子力規制委員会から基本設計の許可とともに、「詳細設計」などの次のステップへ進む権利が与えられ、原発を再び運転できる可能性や新しく作れる可能性が大きく高まります。
しかし、細かいルールのたったひとつでも不合格があれば、「基本設計」の新規制基準をクリアすることができず、原発を再び運転することや新しく作ることができません。
ルールをクリアするための基本を解説!
ルールどおりに設計すること‼
ルールでは地震や津波、事故の状況を想定し、たとえば以下のような安全についての要求があります。
- 「〇〇(地震が起きても丈夫な地盤)に設けなければならない。」
- 「〇〇(地震や津波、事故)に対して〇〇(機能)が損なわれるおそれがないものでなければならない」
- 「〇〇(事故などによる設備の損傷や放射性物質の放出)を防止するために必要な措置を講じたものでなければならない」
「基本設計」のステップでは、原発の施設や設備がこれらの要求どおりだと原子力規制委員会へ説明し認められれば、新しいルールをクリアすることができます。
ただし、原発の安全をまもるための施設や設備、「基本設計」の要求がたくさんあり、すべての施設や設備がルールどおりだと説明することはとても大変で、多くの人手と時間を必要とします。
また、ひとつひとつの施設や設備について「基本設計」のすべての要求をクリアすることが必要なことはもちろんですが、設置許可基準規則のそれぞれの要求をクリアするための対策がお互いに悪い影響を与えないかどうか、よく考え抜く必要があります。
たとえば、地震や津波により原発のなかの設備が壊れ溢水(水があふれること)と火災が同じタイミングで起こることを想定するとき、溢水に対する要求(設置許可基準規則:第9条)をクリアするために止水材を使って対策したものの、この止水材が火災による熱に弱い場合には止水がうまくいかなくなるおそれがあり、溢水に対する要求をクリアできなくなります。
また、火災に対する要求(設置許可基準規則:第8条)をクリアするために耐火材を使って対策したものの、この耐火材が水に弱い場合には耐火がうまくいかなくなるおそれがあり、火災に対する要求をクリアできなくなります。
このように、ひとつの要求としては対策として成立していても、いくつかの事故が同じタイミングで起こる場合に、お互いの対策がお互いに悪い影響を与えあわないかどうかなど、いくつもの要求の組み合わせを考えながら事故をたくさんイメージしてよくよく考え抜く必要があるのです。
さらに、すべての要求をクリアできるように対策をよく考え抜いたうえで、きちんと要求どおりに対策しますと単に約束するだけではダメなことが多くあり、たとえば原発の施設や設備がどれぐらいの強さの火災や溢水に耐えることができるのかなど数字で確認することを求められます。
では、原発の施設や設備の強さなどを数字で確認するためには、具体的になにをすればよいのでしょうか。
原発がルールどおりかどうかは計算や試験などにより確認!
原発の施設や設備の強さなどを数字で確認する場合には、すでにできあがったものであれば壊して確認することがむずかしいこと、新しく作るのであればまだ作り上げたものがないことから、計算や試験を行い確認し原発がルールどおりかどうか示すよう求められることが多いです。
計算や試験を行うとき、想定する地震や津波などの状況次第で、事故が発生するまでの時間や事故がつづく時間、事故の大きさなどといった計算や試験などのために設定する条件が異なり、この異なる程度のことを「不確かさ」といいます。
このような「不確かさ」を考慮して事故の影響が厳しくなるように、計算や試験の条件や方法を決めており、これらに問題ないかどうか、原発の施設や設備がほんとうにルールどおりの強さかどうかなどを原子力規制委員会で確認しています。
別のステージのために設けられた施設や設備は使えないので注意‼
新しいルールでは、対策の信頼性を高めるために「設計基準事故」のステージでは、「重大事故等」のステージのために用意された施設や設備は使えないですし、逆も同じです。
つまり、「設計基準事故」のステージでは、「重大事故等」のステージのために用意された施設や設備には期待しないことから、「設計基準事故」のステージのために用意された施設や設備だけで「設計基準事故」をくい止めるように、「設計基準事故」のために用意された施設や設備を設計することが要求です。
また、「重大事故等」のステージでは、「重大事故等」が起こることはないだろうと油断することなく「重大事故等」は必ず起こると考えるとともに、「設計基準事故」のステージのために用意された施設や設備に期待しないことから、「設計基準事故」のステージのために用意された施設や設備で事故をまったくくい止めることができず、「重大事故等」のステージのために用意された施設や設備だけで「重大事故等」をくい止めるように、「重大事故等」のために用意された施設や設備を設計することが要求です。
「設計基準事故」 の34のルールについて解説!
ここでは「設計基準事故」 の34のルールを順番にみていきましょう。
なお、1条は原発についての「適用範囲」のルールだと説明しており、2条は用語の定義となっています。
また、以降に記載している規則本文は2023年の記事作成時点の最新版ですが、今後の規則改正により内容が陳腐化するおそれがりますので、あらかじめご了承ください。
- 設計基準対象施設の地盤(3条)
- 地震による損傷の防止(4条)
- 津波による損傷の防止(5条)
- 外部からの衝撃による損傷の防止(6条)
- 発電用原子炉施設への人の不法な侵入等の防止(7条)
- 火災による損傷の防止(8条)
- 溢水による損傷の防止(9条)
- 誤操作の防止(10条)
- 安全避難通路等(11条)
- 安全施設(12条)
- 運転時の異常な過渡変化及び設計基準事故の拡大の防止(13条)
- 全交流動力電源喪失対策設備(14条)
- 炉心等(15条)
- 燃料体等の取扱施設及び貯蔵施設(16条)
- 原子炉冷却材圧力バウンダリ(17条)
- 蒸気タービン(18条)
- 非常用炉心冷却設備(19条)
- 一次冷却材の減少分を補給する設備(20条)
- 残留熱を除去することができる設備(21条)
- 最終ヒートシンクへ熱を輸送することができる設備(22条)
- 計測制御系統施設(23条)
- 安全保護回路(24条)
- 反応度制御系統及び原子炉停止系統(25条)
- 原子炉制御室等(26条)
- 放射性廃棄物の処理施設(27条)
- 放射性廃棄物の貯蔵施設(28条)
- 工場等周辺における直接線等からの防護(29条)
- 放射線からの放射線業務従事者の防護(30条)
- 監視設備(31条)
- 原子炉格納施設(32条)
- 保安電源設備(33条)
- 緊急時対策所(34条)
- 通信連絡設備(35条)
- 補助ボイラー(36条)
設計基準対象施設の地盤(3条)
設計基準対象施設の地盤(3条)では、以下のようなルールとなっています。
- 設計基準対象施設は、次条第二項の規定により算定する地震力(設計基準対象施設のうち、地震の発生によって生ずるおそれがあるその安全機能の喪失に起因する放射線による公衆への影響の程度が特に大きいもの(以下「耐震重要施設」という。)及び兼用キャスクにあっては、同条第三項に規定する基準地震動による地震力を含む。)が作用した場合においても当該設計基準対象施設を十分に支持することができる地盤に設けなければならない。ただし、兼用キャスクにあっては、地盤により十分に支持されなくてもその安全機能が損なわれない方法により設けることができるときは、この限りでない。
- 耐震重要施設及び兼用キャスクは、変形した場合においてもその安全機能が損なわれるおそれがない地盤に設けなければならない。
- 耐震重要施設及び兼用キャスクは、変位が生ずるおそれがない地盤に設けなければならない。ただし、兼用キャスクにあっては、地盤に変位が生じてもその安全機能が損なわれない方法により設けることができるときは、この限りでない。
地震による損傷の防止(4条)
地震による損傷の防止(4条)では、以下のようなルールとなっています。
- 設計基準対象施設は、地震力に十分に耐えることができるものでなければならない。
- 前項の地震力は、地震の発生によって生ずるおそれがある設計基準対象施設の安全機能の喪失に起因する放射線による公衆への影響の程度に応じて算定しなければならない。
- 耐震重要施設は、その供用中に当該耐震重要施設に大きな影響を及ぼすおそれがある地震による加速度によって作用する地震力(以下「基準地震動による地震力」という。)に対して安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。
- 耐震重要施設及び兼用キャスクは、変位が生ずるおそれがない地盤に設けなければならない。
- 耐震重要施設は、前項の地震の発生によって生ずるおそれがある斜面の崩壊に対して安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。
- 炉心内の燃料被覆材は、基準地震動による地震力に対して放射性物質の閉じ込めの機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。
- 兼用キャスクは、次のいずれかの地震力に対して安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。
- 一 兼用キャスクが地震力により安全機能を損なうかどうかをその設置される位置のいかんにかかわらず判断するために用いる合理的な地震力として原子力規制委員会が別に定めるもの
- 二 基準地震動による地震力
- 兼用キャスクは、地震の発生によって生ずるおそれがある斜面の崩壊に対して安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。
津波による損傷の防止(5条)
津波による損傷の防止(5条)では、以下のようなルールとなっています。
- 設計基準対象施設(兼用キャスク及びその周辺施設を除く。)は、その供用中に当該設計基準対象施設に大きな影響を及ぼすおそれがある津波(以下「基準津波」という。)に対して安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。
- 兼用キャスク及びその周辺施設は、次のいずれかの津波に対して安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。
- 一 兼用キャスクが津波により安全機能を損なうかどうかをその設置される位置のいかんにかかわらず判断するために用いる合理的な津波として原子力規制委員会が別に定めるもの
- 二 基準津波
外部からの衝撃による損傷の防止(6条)
外部からの衝撃による損傷の防止(6条)では、以下のようなルールとなっています。
- 安全施設(兼用キャスクを除く。)は、想定される自然現象(地震及び津波を除く。次項において同じ。)が発生した場合においても安全機能を損なわないものでなければならない。
- 重要安全施設は、当該重要安全施設に大きな影響を及ぼすおそれがあると想定される自然現象により当該重要安全施設に作用する衝撃及び設計基準事故時に生ずる応力を適切に考慮したものでなければならない。
- 安全施設(兼用キャスクを除く。)は、工場等内又はその周辺において想定される発電用原子炉施設の安全性を損なわせる原因となるおそれがある事象であって人為によるもの(故意によるものを除く。以下「人為による事象」という。)に対して安全機能を損なわないものでなければならない。
- 兼用キャスクは、次に掲げる自然現象が発生した場合においても安全機能を損なわないものでなければならない。
- 一 兼用キャスクが竜巻により安全機能を損なうかどうかをその設置される位置のいかんにかかわらず判断するために用いる合理的な竜巻として原子力規制委員会が別に定めるもの
- 二 想定される森林火災
- 前項の規定は、兼用キャスクについて第一項の規定の例によることを妨げない。
- 兼用キャスクは、次に掲げる人為による事象に対して安全機能を損なわないものでなければならない。
- 一 工場等内又はその周辺において想定される兼用キャスクの安全性を損なわせる原因となるおそれがある爆発
- 二 工場等の周辺において想定される兼用キャスクの安全性を損なわせる原因となるおそれがある火災
- 前項の規定は、兼用キャスクについて第三項の規定の例によることを妨げない。
発電用原子炉施設への人の不法な侵入等の防止(7条)
発電用原子炉施設への人の不法な侵入等の防止(7条)では、以下のようなルールとなっています。
- 工場等には、発電用原子炉施設への人の不法な侵入、発電用原子炉施設に不正に爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれがある物件が持ち込まれること及び不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第二条第四項に規定する不正アクセス行為をいう。第二十四条第六号において同じ。)を防止するための設備を設けなければならない。
火災による損傷の防止(8条)
火災による損傷の防止(8条)では、以下のようなルールとなっています。
- 設計基準対象施設は、火災により発電用原子炉施設の安全性が損なわれないよう、火災の発生を防止することができ、かつ、早期に火災発生を感知する設備(以下「火災感知設備」という。)及び消火を行う設備(以下「消火設備」といい、安全施設に属するものに限る。)並びに火災の影響を軽減する機能を有するものでなければならない。
- 消火設備(安全施設に属するものに限る。)は、破損、誤作動又は誤操作が起きた場合においても発電用原子炉を安全に停止させるための機能を損なわないものでなければならない。
溢水による損傷の防止(9条)
溢水による損傷の防止(9条)では、以下のようなルールとなっています。
- 安全施設は、発電用原子炉施設内における溢いつ水が発生した場合においても安全機能を損なわないものでなければならない。
- 設計基準対象施設は、発電用原子炉施設内の放射性物質を含む液体を内包する容器、配管その他の設備から放射性物質を含む液体があふれ出た場合において、当該液体が管理区域外へ漏えいしないものでなければならない。
誤操作の防止(10条)
誤操作の防止(10条)では、以下のようなルールとなっています。
- 設計基準対象施設は、誤操作を防止するための措置を講じたものでなければならない。
- 安全施設は、容易に操作することができるものでなければならない。
安全避難通路等(11条)
安全避難通路等(11条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、次に掲げる設備を設けなければならない。
- 一 その位置を明確かつ恒久的に表示することにより容易に識別できる安全避難通路
- 二 照明用の電源が喪失した場合においても機能を損なわない避難用の照明
- 三 設計基準事故が発生した場合に用いる照明(前号の避難用の照明を除く。)及びその専用の電源
安全施設(12条)
安全施設(12条)では、以下のようなルールとなっています。
- 安全施設は、その安全機能の重要度に応じて、安全機能が確保されたものでなければならない。
- 安全機能を有する系統のうち、安全機能の重要度が特に高い安全機能を有するものは、当該系統を構成する機械又は器具の単一故障(単一の原因によって一つの機械又は器具が所定の安全機能を失うこと(従属要因による多重故障を含む。)をいう。以下同じ。)が発生した場合であって、外部電源が利用できない場合においても機能できるよう、当該系統を構成する機械又は器具の機能、構造及び動作原理を考慮して、多重性又は多様性を確保し、及び独立性を確保するものでなければならない。
- 安全施設は、設計基準事故時及び設計基準事故に至るまでの間に想定される全ての環境条件において、その機能を発揮することができるものでなければならない。
- 安全施設は、その健全性及び能力を確認するため、その安全機能の重要度に応じ、発電用原子炉の運転中又は停止中に試験又は検査ができるものでなければならない。
- 安全施設は、蒸気タービン、ポンプその他の機器又は配管の損壊に伴う飛散物により、安全性を損なわないものでなければならない。
- 重要安全施設は、二以上の発電用原子炉施設において共用し、又は相互に接続するものであってはならない。ただし、二以上の発電用原子炉施設と共用し、又は相互に接続することによって当該二以上の発電用原子炉施設の安全性が向上する場合は、この限りでない。
- 安全施設(重要安全施設を除く。)は、二以上の発電用原子炉施設と共用し、又は相互に接続する場合には、発電用原子炉施設の安全性を損なわないものでなければならない。
運転時の異常な過渡変化及び設計基準事故の拡大の防止(13条)
運転時の異常な過渡変化及び設計基準事故の拡大の防止(13条)では、以下のようなルールとなっています。
- 設計基準対象施設は、次に掲げる要件を満たすものでなければならない。
- 一 運転時の異常な過渡変化時において次に掲げる要件を満たすものであること。
- イ 最小限界熱流束比(燃料被覆材から冷却材への熱伝達が低下し、燃料被覆材の温度が急上昇し始める時の熱流束(単位時間及び単位面積当たりの熱量をいう。以下同じ。)と運転時の熱流束との比の最小値をいう。)又は最小限界出力比(燃料体に沸騰遷移が発生した時の燃料体の出力と運転時の燃料体の出力との比の最小値をいう。)が許容限界値以上であること。
- ロ 燃料被覆材が破損しないものであること。
- ハ 燃料材のエンタルピーが燃料要素の許容損傷限界を超えないこと。
- ニ 原子炉冷却材圧力バウンダリにかかる圧力が最高使用圧力の一・一倍以下となること。
- 二 設計基準事故時において次に掲げる要件を満たすものであること。
- イ 炉心の著しい損傷が発生するおそれがないものであり、かつ、炉心を十分に冷却できるものであること。
- ロ 燃料材のエンタルピーが炉心及び原子炉冷却材圧力バウンダリの健全性を維持するための制限値を超えないこと。
- ハ 原子炉冷却材圧力バウンダリにかかる圧力が最高使用圧力の一・二倍以下となること。
- ニ 原子炉格納容器バウンダリにかかる圧力及び原子炉格納容器バウンダリにおける温度が最高使用圧力及び最高使用温度以下となること。
- ホ 設計基準対象施設が工場等周辺の公衆に放射線障害を及ぼさないものであること。
なお、このルールは新規制基準が作られる前からあり、ルールに変更などがないことから、審査の対象外となっています。
全交流動力電源喪失対策設備(14条)
全交流動力電源喪失対策設備(14条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、全交流動力電源喪失時から重大事故等に対処するために必要な電力の供給が交流動力電源設備から開始されるまでの間、発電用原子炉を安全に停止し、かつ、発電用原子炉の停止後に炉心を冷却するための設備が動作するとともに、原子炉格納容器の健全性を確保するための設備が動作することができるよう、これらの設備の動作に必要な容量を有する蓄電池その他の設計基準事故に対処するための電源設備(安全施設に属するものに限る。)を設けなければならない。
炉心等(15条)
炉心等(15条)では、以下のようなルールとなっています。
- 設計基準対象施設は、原子炉固有の出力抑制特性を有するとともに、発電用原子炉の反応度を制御することにより核分裂の連鎖反応を制御できる能力を有するものでなければならない。
- 炉心は、通常運転時又は運転時の異常な過渡変化時に発電用原子炉の運転に支障が生ずる場合において、原子炉冷却系統、原子炉停止系統、反応度制御系統、計測制御系統及び安全保護回路の機能と併せて機能することにより燃料要素の許容損傷限界を超えないものでなければならない。
- 燃料体、減速材及び反射材並びに炉心支持構造物は、通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び設計基準事故時において、発電用原子炉を安全に停止し、かつ、停止後に炉心の冷却機能を維持できるものでなければならない。
- 燃料体及び反射材並びに炉心支持構造物、熱遮蔽材並びに一次冷却系統に係る容器、管、ポンプ及び弁は、一次冷却材又は二次冷却材の循環、沸騰その他の一次冷却材又は二次冷却材の挙動により生ずる流体振動又は温度差のある流体の混合その他の一次冷却材又は二次冷却材の挙動により生ずる温度変動により損傷を受けないものでなければならない。
- 燃料体は、通常運転時における圧力、温度及び放射線に起因する最も厳しい条件において、必要な物理的及び化学的性質を保持するものでなければならない。
- 燃料体は、次に掲げるものでなければならない。
- 一 通常運転時及び運転時の異常な過渡変化時における発電用原子炉内の圧力、自重、附加荷重その他の燃料体に加わる負荷に耐えるものとすること。
- 二 輸送中又は取扱中において、著しい変形を生じないものとすること。
なお、このルールは新規制基準が作られる前からあり、ルールに変更などがないことから、審査の対象外となっています。
燃料体等の取扱施設及び貯蔵施設(16条)
燃料体等の取扱施設及び貯蔵施設(16条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、次に掲げるところにより、通常運転時に使用する燃料体又は使用済燃料(以下この条において「燃料体等」という。)の取扱施設(安全施設に係るものに限る。)を設けなければならない。
- 一 燃料体等を取り扱う能力を有するものとすること。
- 二 燃料体等が臨界に達するおそれがないものとすること。
- 三 崩壊熱により燃料体等が溶融しないものとすること。
- 四 使用済燃料からの放射線に対して適切な遮蔽能力を有するものとすること。
- 五 燃料体等の取扱中における燃料体等の落下を防止できるものとすること。
- 2 発電用原子炉施設には、次に掲げるところにより、燃料体等の貯蔵施設(安全施設に属するものに限る。以下この項において同じ。)を設けなければならない。
- 一 燃料体等の貯蔵施設は、次に掲げるものであること。
- イ 燃料体等の落下により燃料体等が破損して放射性物質の放出により公衆に放射線障害を及ぼすおそれがある場合において、放射性物質の放出による公衆への影響を低減するため、燃料貯蔵設備を格納するもの及び放射性物質の放出を低減するものとすること。
- ロ 燃料体等を必要に応じて貯蔵することができる容量を有するものとすること。
- ハ 燃料体等が臨界に達するおそれがないものとすること。
- 二 使用済燃料の貯蔵施設(キャスクを除く。)にあっては、前号に掲げるもののほか、次に掲げるものであること。
- イ 使用済燃料からの放射線に対して適切な遮蔽能力を有するものとすること。
- ロ 貯蔵された使用済燃料が崩壊熱により溶融しないものであって、最終ヒートシンクへ熱を輸送できる設備及びその浄化系を有するものとすること。
- ハ 使用済燃料貯蔵槽(安全施設に属するものに限る。以下この項及び次項において同じ。)から放射性物質を含む水があふれ、又は漏れないものであって、使用済燃料貯蔵槽から水が漏えいした場合において水の漏えいを検知することができるものとすること。
- ニ 燃料体等の取扱中に想定される燃料体等の落下時及び重量物の落下時においてもその機能が損なわれないものとすること。
- 3 発電用原子炉施設には、次に掲げるところにより、使用済燃料貯蔵槽の水位及び水温並びに燃料取扱場所の放射線量を測定できる設備を設けなければならない。
- 一 使用済燃料貯蔵槽の水位及び水温並びに燃料取扱場所の放射線量の異常を検知し、それを原子炉制御室に伝え、又は異常が生じた水位及び水温を自動的に制御し、並びに放射線量を自動的に抑制することができるものとすること。
- 二 外部電源が利用できない場合においても温度、水位その他の発電用原子炉施設の状態を示す事項(以下「パラメータ」という。)を監視することができるものとすること。
- 4 キャスクを設ける場合には、そのキャスクは、第二項第一号に定めるもののほか、次に掲げるものでなければならない。
- 一 使用済燃料からの放射線に対して適切な遮蔽能力を有するものとすること。
- 二 使用済燃料の崩壊熱を適切に除去することができるものとすること。
- 三 使用済燃料が内包する放射性物質を適切に閉じ込めることができ、かつ、その機能を適切に監視することができるものとすること。
原子炉冷却材圧力バウンダリ(17条)
原子炉冷却材圧力バウンダリ(17条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、次に掲げるところにより、原子炉冷却材圧力バウンダリを構成する機器(安全施設に属するものに限る。以下この条において同じ。)を設けなければならない。
- 一 通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び設計基準事故時に生ずる衝撃、炉心の反応度の変化による荷重の増加その他の原子炉冷却材圧力バウンダリを構成する機器に加わる負荷に耐えるものとすること。
- 二 原子炉冷却材の流出を制限するため隔離装置を有するものとすること。
- 三 通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び設計基準事故時に瞬間的破壊が生じないよう、十分な破壊じん性を有するものとすること。
- 四 原子炉冷却材圧力バウンダリからの原子炉冷却材の漏えいを検出する装置を有するものとすること。
なお、このルールは新規制基準が作られる前からあり、ルールに変更などがないことから、審査の対象外となっています。
蒸気タービン(18条)
蒸気タービン(18条)では、以下のようなルールとなっています。
- 蒸気タービン(安全施設に属するものに限る。以下この条において同じ。)は、当該蒸気タービンが損壊し、又は故障した場合においても、発電用原子炉施設の安全性を損なわないものでなければならない。
- 蒸気タービンには、当該蒸気タービンが損壊し、又は故障した場合においても発電用原子炉施設の安全性を損なわないよう、その運転状態を監視できる設備を設けなければならない。
非常用炉心冷却設備(19条)
非常用炉心冷却設備(19条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、次に掲げるところにより、非常用炉心冷却設備(安全施設に属するものに限る。)を設けなければならない。
- 一 一次冷却材を喪失した場合においても、燃料被覆材の温度が燃料材の溶融又は燃料体の著しい損傷を生ずる温度を超えて上昇することを防止できるものとすること。
- 二 一次冷却材を喪失した場合においても、燃料被覆材と冷却材との反応により著しく多量の水素を生じないものとすること。
なお、このルールは新規制基準が作られる前からあり、ルールに変更などがないことから、審査の対象外となっています。
一次冷却材の減少分を補給する設備(20条)
一次冷却材の減少分を補給する設備(20条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、通常運転時又は一次冷却材の小規模漏えい時に発生した一次冷却材の減少分を補給する設備(安全施設に属するものに限る。)を設けなければならない。
なお、このルールは新規制基準が作られる前からあり、ルールに変更などがないことから、審査の対象外となっています。
残留熱を除去することができる設備(21条)
残留熱を除去することができる設備(21条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、発電用原子炉を停止した場合において、燃料要素の許容損傷限界及び原子炉冷却材圧力バウンダリの健全性を維持するために必要なパラメータが設計値を超えないようにするため、原子炉圧力容器内において発生した残留熱を除去することができる設備(安全施設に属するものに限る。)を設けなければならない。
なお、このルールは新規制基準が作られる前からあり、ルールに変更などがないことから、審査の対象外となっています。
最終ヒートシンクへ熱を輸送することができる設備(22条)
最終ヒートシンクへ熱を輸送することができる設備(22条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、次に掲げるところにより、最終ヒートシンクへ熱を輸送することができる設備(安全施設に属するものに限る。)を設けなければならない。
- 一 原子炉圧力容器内において発生した残留熱及び重要安全施設において発生した熱を除去することができるものとすること。
- 二 津波、溢いつ水又は工場等内若しくはその周辺における発電用原子炉施設の安全性を損なわせる原因となるおそれがある事象であって人為によるものに対して安全性を損なわないものとすること。
なお、このルールは新規制基準が作られる前からあり、ルールに変更などがないことから、審査の対象外となっています。
計測制御系統施設(23条)
計測制御系統施設(23条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、次に掲げるところにより、計測制御系統施設を設けなければならない。
- 一 炉心、原子炉冷却材圧力バウンダリ及び原子炉格納容器バウンダリ並びにこれらに関連する系統の健全性を確保するために監視することが必要なパラメータは、通常運転時及び運転時の異常な過渡変化時においても想定される範囲内に制御できるものとすること。
- 二 前号のパラメータは、通常運転時及び運転時の異常な過渡変化時においても想定される範囲内で監視できるものとすること。
- 三 設計基準事故が発生した場合の状況を把握し、及び対策を講ずるために必要なパラメータは、設計基準事故時に想定される環境下において、十分な測定範囲及び期間にわたり監視できるものとすること。
- 四 前号のパラメータのうち、発電用原子炉の停止及び炉心の冷却に係るものについては、設計基準事故時においても二種類以上監視し、又は推定することができるものとすること。
- 五 発電用原子炉の停止及び炉心の冷却並びに放射性物質の閉じ込めの機能の状況を監視するために必要なパラメータは、設計基準事故時においても確実に記録され、及び当該記録が保存されるものとすること。
安全保護回路(24条)
安全保護回路(24条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、次に掲げるところにより、安全保護回路(安全施設に属するものに限る。以下この条において同じ。)を設けなければならない。
- 一 運転時の異常な過渡変化が発生する場合において、その異常な状態を検知し、及び原子炉停止系統その他系統と併せて機能することにより、燃料要素の許容損傷限界を超えないようにできるものとすること。
- 二 設計基準事故が発生する場合において、その異常な状態を検知し、原子炉停止系統及び工学的安全施設を自動的に作動させるものとすること。
- 三 安全保護回路を構成する機械若しくは器具又はチャンネルは、単一故障が起きた場合又は使用状態からの単一の取り外しを行った場合において、安全保護機能を失わないよう、多重性を確保するものとすること。
- 四 安全保護回路を構成するチャンネルは、それぞれ互いに分離し、それぞれのチャンネル間において安全保護機能を失わないように独立性を確保するものとすること。
- 五 駆動源の喪失、系統の遮断その他の不利な状況が発生した場合においても、発電用原子炉施設をより安全な状態に移行するか、又は当該状態を維持することにより、発電用原子炉施設の安全上支障がない状態を維持できるものとすること。
- 六 不正アクセス行為その他の電子計算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、又は使用目的に反する動作をさせる行為による被害を防止することができるものとすること。
- 七 計測制御系統施設の一部を安全保護回路と共用する場合には、その安全保護機能を失わないよう、計測制御系統施設から機能的に分離されたものとすること。
反応度制御系統及び原子炉停止系統(25条)
反応度制御系統及び原子炉停止系統(25条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、反応度制御系統(原子炉停止系統を含み、安全施設に係るものに限る。次項において同じ。)を設けなければならない。
- 2 反応度制御系統は、計画的な出力変化に伴う反応度変化を燃料要素の許容損傷限界を超えることなく制御できる能力を有し、かつ、次に掲げるものでなければならない。
- 一 制御棒、液体制御材その他反応度を制御するものによる二以上の独立した系統を有するものとすること。
- 二 通常運転時の高温状態において、二以上の独立した系統がそれぞれ発電用原子炉を未臨界に移行し、及び未臨界を維持できるものであり、かつ、運転時の異常な過渡変化時の高温状態においても反応度制御系統のうち少なくとも一つは、燃料要素の許容損傷限界を超えることなく発電用原子炉を未臨界に移行し、及び未臨界を維持できること。この場合において、非常用炉心冷却設備その他の発電用原子炉施設の安全性を損なうおそれがある場合に作動する設備の作動に伴って注入される液体制御材による反応度価値を加えることができる。
- 三 通常運転時及び運転時の異常な過渡変化時における低温状態において、反応度制御系統のうち少なくとも一つは、発電用原子炉を未臨界に移行し、及び未臨界を維持できること。
- 四 一次冷却材喪失その他の設計基準事故時において、反応度制御系統のうち少なくとも一つは、発電用原子炉を未臨界へ移行することができ、かつ、少なくとも一つは、発電用原子炉を未臨界に維持できること。この場合において、非常用炉心冷却設備その他の発電用原子炉施設の安全性を損なうおそれがある場合に作動する設備の作動に伴って注入される液体制御材による反応度価値を加えることができる。
- 五 制御棒を用いる場合にあっては、反応度価値の最も大きな制御棒一本が固着した場合においても前三号の規定に適合すること。
- 3 制御棒の最大反応度価値及び反応度添加率は、想定される反応度投入事象(発電用原子炉に反応度が異常に投入される事象をいう。)に対して原子炉冷却材圧力バウンダリを破損せず、かつ、炉心の冷却機能を損なうような炉心、炉心支持構造物及び原子炉圧力容器内部構造物の損壊を起こさないものでなければならない。
- 4 制御棒、液体制御材その他の反応度を制御する設備は、通常運転時における圧力、温度及び放射線に起因する最も厳しい条件において、必要な物理的及び化学的性質を保持するものでなければならない。
なお、このルールは新規制基準が作られる前からあり、ルールに変更などがないことから、審査の対象外となっています。
原子炉制御室等(26条)
原子炉制御室等(26条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、次に掲げるところにより、原子炉制御室(安全施設に属するものに限る。以下この条において同じ。)を設けなければならない。
- 一 設計基準対象施設の健全性を確保するために必要なパラメータを監視できるものとすること。
- 二 発電用原子炉施設の外の状況を把握する設備を有するものとすること。
- 三 発電用原子炉施設の安全性を確保するために必要な操作を手動により行うことができるものとすること。
- 2 発電用原子炉施設には、火災その他の異常な事態により原子炉制御室が使用できない場合において、原子炉制御室以外の場所から発電用原子炉を高温停止の状態に直ちに移行させ、及び必要なパラメータを想定される範囲内に制御し、その後、発電用原子炉を安全な低温停止の状態に移行させ、及び低温停止の状態を維持させるために必要な機能を有する装置を設けなければならない。
- 3 一次冷却系統に係る発電用原子炉施設の損壊又は故障その他の異常が発生した場合に発電用原子炉の運転の停止その他の発電用原子炉施設の安全性を確保するための措置をとるため、従事者が支障なく原子炉制御室に入り、又は一定期間とどまり、かつ、当該措置をとるための操作を行うことができるよう、次の各号に掲げる場所の区分に応じ、当該各号に定める設備を設けなければならない。
- 一 原子炉制御室及びその近傍並びに有毒ガスの発生源の近傍 工場等内における有毒ガスの発生を検出するための装置及び当該装置が有毒ガスの発生を検出した場合に原子炉制御室において自動的に警報するための装置
- 二 原子炉制御室及びこれに連絡する通路並びに運転員その他の従事者が原子炉制御室に出入りするための区域 遮蔽壁その他の適切に放射線から防護するための設備、気体状の放射性物質及び原子炉制御室外の火災により発生する燃焼ガスに対し換気設備を隔離するための設備その他の適切に防護するための設備
放射性廃棄物の処理施設(27条)
放射性廃棄物の処理施設(27条)では、以下のようなルールとなっています。
- 工場等には、次に掲げるところにより、通常運転時において放射性廃棄物(実用炉規則第二条第二項第二号に規定する放射性廃棄物をいう。以下同じ。)を処理する施設(安全施設に係るものに限る。以下この条において同じ。)を設けなければならない。
- 一 周辺監視区域の外の空気中及び周辺監視区域の境界における水中の放射性物質の濃度を十分に低減できるよう、発電用原子炉施設において発生する放射性廃棄物を処理する能力を有するものとすること。
- 二 液体状の放射性廃棄物の処理に係るものにあっては、放射性物質を処理する施設から液体状の放射性廃棄物が漏えいすることを防止し、及び工場等外へ液体状の放射性廃棄物が漏えいすることを防止できるものとすること。
- 三 固体状の放射性廃棄物の処理に係るものにあっては、放射性廃棄物を処理する過程において放射性物質が散逸し難いものとすること。
なお、このルールは新規制基準が作られる前からあり、ルールに変更などがないことから、審査の対象外となっています。
放射性廃棄物の貯蔵施設(28条)
放射性廃棄物の貯蔵施設(28条)では、以下のようなルールとなっています。
- 工場等には、次に掲げるところにより、発電用原子炉施設において発生する放射性廃棄物を貯蔵する施設(安全施設に係るものに限る。)を設けなければならない。
- 一 放射性廃棄物が漏えいし難いものとすること。
- 二 固体状の放射性廃棄物を貯蔵する設備を設けるものにあっては、放射性廃棄物による汚染が広がらないものとすること。
なお、このルールは新規制基準が作られる前からあり、ルールに変更などがないことから、審査の対象外となっています。
工場等周辺における直接線等からの防護(29条)
工場等周辺における直接線等からの防護(29条)では、以下のようなルールとなっています。
- 設計基準対象施設は、通常運転時において発電用原子炉施設からの直接線及びスカイシャイン線による工場等周辺の空間線量率が十分に低減できるものでなければならない。
なお、このルールは新規制基準が作られる前からあり、ルールに変更などがないことから、審査の対象外となっています。
放射線からの放射線業務従事者の防護(30条)
放射線からの放射線業務従事者の防護(30条)では、以下のようなルールとなっています。
- 設計基準対象施設は、外部放射線による放射線障害を防止する必要がある場合には、次に掲げるものでなければならない。
- 一 放射線業務従事者(実用炉規則第二条第二項第七号に規定する放射線業務従事者をいう。以下同じ。)が業務に従事する場所における放射線量を低減できるものとすること。
- 二 放射線業務従事者が運転時の異常な過渡変化時及び設計基準事故時において、迅速な対応をするために必要な操作ができるものとすること。
- 2 工場等には、放射線から放射線業務従事者を防護するため、放射線管理施設を設けなければならない。
- 3 放射線管理施設には、放射線管理に必要な情報を原子炉制御室その他当該情報を伝達する必要がある場所に表示できる設備(安全施設に属するものに限る。)を設けなければならない。
なお、このルールは新規制基準が作られる前からあり、ルールに変更などがないことから、審査の対象外となっています。
監視設備(31条)
監視設備(31条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び設計基準事故時において、当該発電用原子炉施設及びその境界付近における放射性物質の濃度及び放射線量を監視し、及び測定し、並びに設計基準事故時における迅速な対応のために必要な情報を原子炉制御室その他当該情報を伝達する必要がある場所に表示できる設備(安全施設に属するものに限る。)を設けなければならない。
原子炉格納施設(32条)
原子炉格納施設(32条)では、以下のようなルールとなっています。
- 原子炉格納容器は、一次冷却系統に係る発電用原子炉施設が損壊し、又は故障した場合において漏えいする放射性物質が公衆に放射線障害を及ぼさないようにするため、想定される最大の圧力、最高の温度及び適切な地震力に十分に耐えることができ、かつ、適切に作動する隔離機能と併せて所定の漏えい率を超えることがないものでなければならない。
- 2 原子炉格納容器バウンダリを構成する設備は、通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び設計基準事故時に瞬間的破壊が生じないよう、十分な破壊じん性を有するものでなければならない。
- 3 原子炉格納容器を貫通する配管には、隔離弁(安全施設に属するものに限る。次項及び第五項において同じ。)を設けなければならない。ただし、計測装置又は制御棒駆動装置に関連する配管であって、当該配管を通じての漏えい量が十分許容される程度に抑制されているものについては、この限りでない。
- 4 主要な配管(事故の収束に必要な系統の配管を除く。)に設ける隔離弁は、設計基準事故時に隔離機能の確保が必要となる場合において、自動的、かつ、確実に閉止される機能を有するものでなければならない。
- 5 発電用原子炉施設には、次に掲げるところにより隔離弁を設けなければならない。
- 一 原子炉格納容器に近接した箇所に設置するものとすること。
- 二 原子炉格納容器内に開口部がある配管又は原子炉冷却材圧力バウンダリに接続している配管のうち、原子炉格納容器の外側で閉じていないものにあっては、原子炉格納容器の内側及び外側にそれぞれ一個の隔離弁を設けるものとすること。ただし、その一方の側の設置箇所における配管の隔離弁の機能が、湿気その他隔離弁の機能に影響を与える環境条件によって著しく低下するおそれがあると認められるときは、貫通箇所の外側であって近接した箇所に二個の隔離弁を設けることをもって、これに代えることができる。
- 三 原子炉格納容器を貫通し、貫通箇所の内側又は外側において閉じている配管にあっては、原子炉格納容器の外側に一個の隔離弁を設けるものとすること。ただし、当該格納容器の外側に隔離弁を設けることが困難である場合においては、原子炉格納容器の内側に一個の隔離弁を適切に設けることをもって、これに代えることができる。
- 四 前二号の規定にかかわらず、配管に圧力開放板を適切に設けるときは、原子炉格納容器の内側又は外側に通常時において閉止された一個の隔離弁を設けることをもって、前二号の規定による隔離弁の設置に代えることができる。
- 五 閉止後において駆動動力源が喪失した場合においても隔離機能が失われないものとすること。
- 6 発電用原子炉施設には、一次冷却系統に係る発電用原子炉施設が損壊し、又は故障した際に生ずる原子炉格納容器内の圧力及び温度の上昇により原子炉格納容器の健全性に支障が生ずることを防止するため、原子炉格納容器内において発生した熱を除去する設備(安全施設に属するものに限る。)を設けなければならない。
- 7 発電用原子炉施設には、一次冷却系統に係る発電用原子炉施設が損壊し、又は故障した際に原子炉格納容器から気体状の放射性物質が漏えいすることにより公衆に放射線障害を及ぼすおそれがある場合は、放射性物質の濃度を低減させるため、原子炉格納施設内の雰囲気の浄化系(安全施設に係るものに限る。)を設けなければならない。
- 8 発電用原子炉施設には、一次冷却系統に係る発電用原子炉施設が損壊し、又は故障した際に生ずる水素及び酸素により原子炉格納容器の健全性を損なうおそれがある場合は、水素及び酸素の濃度を抑制するため、可燃性ガス濃度制御系(安全施設に係るものに限る。)を設けなければならない。
なお、このルールは新規制基準が作られる前からあり、ルールに変更などがないことから、審査の対象外となっています。
保安電源設備(33条)
保安電源設備(33条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設は、重要安全施設がその機能を維持するために必要となる電力を当該重要安全施設に供給するため、電力系統に連系したものでなければならない。
- 発電用原子炉施設には、非常用電源設備(安全施設に属するものに限る。以下この条において同じ。)を設けなければならない。
- 保安電源設備(安全施設へ電力を供給するための設備をいう。)は、電線路、発電用原子炉施設において常時使用される発電機及び非常用電源設備から安全施設への電力の供給が停止することがないよう、機器の損壊、故障その他の異常を検知するとともに、その拡大を防止するものでなければならない。
- 設計基準対象施設に接続する電線路のうち少なくとも二回線は、それぞれ互いに独立したものであって、当該設計基準対象施設において受電可能なものであり、かつ、それにより当該設計基準対象施設を電力系統に連系するものでなければならない。
- 前項の電線路のうち少なくとも一回線は、設計基準対象施設において他の回線と物理的に分離して受電できるものでなければならない。
- 設計基準対象施設に接続する電線路は、同一の工場等の二以上の発電用原子炉施設を電力系統に連系する場合には、いずれの二回線が喪失した場合においても電力系統からこれらの発電用原子炉施設への電力の供給が同時に停止しないものでなければならない。
- 非常用電源設備及びその附属設備は、多重性又は多様性を確保し、及び独立性を確保し、その系統を構成する機械又は器具の単一故障が発生した場合であっても、運転時の異常な過渡変化時又は設計基準事故時において工学的安全施設及び設計基準事故に対処するための設備がその機能を確保するために十分な容量を有するものでなければならない。
- 設計基準対象施設は、他の発電用原子炉施設に属する非常用電源設備及びその附属設備から受電する場合には、当該非常用電源設備から供給される電力に過度に依存しないものでなければならない。
緊急時対策所(34条)
緊急時対策所(34条)では、以下のようなルールとなっています。
- 工場等には、一次冷却系統に係る発電用原子炉施設の損壊その他の異常が発生した場合に適切な措置をとるため、緊急時対策所を原子炉制御室以外の場所に設けなければならない。
- 緊急時対策所及びその近傍並びに有毒ガスの発生源の近傍には、有毒ガスが発生した場合に適切な措置をとるため、工場等内における有毒ガスの発生を検出するための装置及び当該装置が有毒ガスの発生を検出した場合に緊急時対策所において自動的に警報するための装置その他の適切に防護するための設備を設けなければならない。
通信連絡設備(35条)
通信連絡設備(35条)では、以下のようなルールとなっています。
- 工場等には、設計基準事故が発生した場合において工場等内の人に対し必要な指示ができるよう、警報装置(安全施設に属するものに限る。)及び多様性を確保した通信連絡設備(安全施設に属するものに限る。)を設けなければならない。
- 工場等には、設計基準事故が発生した場合において発電用原子炉施設外の通信連絡をする必要がある場所と通信連絡ができるよう、多様性を確保した専用通信回線を設けなければならない。
補助ボイラー(36条)
補助ボイラー(36条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、設計基準事故に至るまでの間に想定される使用条件に応じて必要な蒸気を供給する能力がある補助ボイラー(安全施設に属するものに限る。次項において同じ。)を設けなければならない。
- 補助ボイラーは、発電用原子炉施設の安全性を損なわないものでなければならない。
「重大事故等」 の26のルールについて解説!
ここでは「重大事故等」 の26のルールを順番にみていきましょう。
- 重大事故等の拡大の防止等(37条)
- 重大事故等対処施設の地盤(38条)
- 地震による損傷の防止(39条)
- 津波による損傷の防止(40条)
- 火災による損傷の防止(41条)
- 特定重大事故等対処施設(42条)
- 重大事故等対処設備(43条)
- 緊急停止失敗時に発電用原子炉を未臨界にするための設備(44条)
- 原子炉冷却材圧力バウンダリ高圧時に発電用原子炉を冷却するための設備(45条)
- 原子炉冷却材圧力バウンダリを減圧するための設備(46条)
- 原子炉冷却材圧力バウンダリ低圧時に発電用原子炉を冷却するための設備(47条)
- 最終ヒートシンクへ熱を輸送するための設備(48条)
- 原子炉格納容器内の冷却等のための設備(49条)
- 原子炉格納容器の過圧破損を防止するための設備(50条)
- 原子炉格納容器下部の溶融炉心を冷却するための設備(51条)
- 水素爆発による原子炉格納容器の破損を防止するための設備(52条)
- 水素爆発による原子炉建屋等の損傷を防止するための設備(53条)
- 使用済燃料貯蔵槽の冷却等のための設備(54条)
- 工場等外への放射性物質の拡散を抑制するための設備(55条)
- 重大事故等時に必要となる水源及び水の供給設備(56条)
- 電源設備(57条)
- 計装設備(58条)
- 運転員が原子炉制御室にとどまるための設備(59条)
- 監視測定設備(60条)
- 緊急時対策所(61条)
- 通信連絡を行うために必要な設備(62条)
重大事故等の拡大の防止等(37条)
重大事故等の拡大の防止等(37条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設は、重大事故に至るおそれがある事故が発生した場合において、炉心の著しい損傷を防止するために必要な措置を講じたものでなければならない。
- 発電用原子炉施設は、重大事故が発生した場合において、原子炉格納容器の破損及び工場等外への放射性物質の異常な水準の放出を防止するために必要な措置を講じたものでなければならない。
- 発電用原子炉施設は、重大事故に至るおそれがある事故が発生した場合において、使用済燃料貯蔵槽内の燃料体又は使用済燃料(以下「貯蔵槽内燃料体等」という。)の著しい損傷を防止するために必要な措置を講じたものでなければならない。
- 発電用原子炉施設は、重大事故に至るおそれがある事故が発生した場合において、運転停止中における発電用原子炉内の燃料体(以下「運転停止中原子炉内燃料体」という。)の著しい損傷を防止するために必要な措置を講じたものでなければならない。
重大事故等対処施設の地盤(38条)
重大事故等対処施設の地盤(38条)では、以下のようなルールとなっています。
- 重大事故等対処施設は、次に掲げる施設の区分に応じ、それぞれ次に定める地盤に設けなければならない。
- 一 重大事故防止設備のうち常設のもの(以下「常設重大事故防止設備」という。)であって、耐震重要施設に属する設計基準事故対処設備が有する機能を代替するもの(以下「常設耐震重要重大事故防止設備」という。)が設置される重大事故等対処施設(特定重大事故等対処施設を除く。) 基準地震動による地震力が作用した場合においても当該重大事故等対処施設を十分に支持することができる地盤
- 二 常設耐震重要重大事故防止設備以外の常設重大事故防止設備が設置される重大事故等対処施設(特定重大事故等対処施設を除く。) 第四条第二項の規定により算定する地震力が作用した場合においても当該重大事故等対処施設を十分に支持することができる地盤
- 三 重大事故緩和設備のうち常設のもの(以下「常設重大事故緩和設備」という。)が設置される重大事故等対処施設(特定重大事故等対処施設を除く。) 基準地震動による地震力が作用した場合においても当該重大事故等対処施設を十分に支持することができる地盤
- 四 特定重大事故等対処施設 第四条第二項の規定により算定する地震力が作用した場合及び基準地震動による地震力が作用した場合においても当該特定重大事故等対処施設を十分に支持することができる地盤
- 2 重大事故等対処施設(前項第二号の重大事故等対処施設を除く。次項及び次条第二項において同じ。)は、変形した場合においても重大事故等に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがない地盤に設けなければならない。
- 3 重大事故等対処施設は、変位が生ずるおそれがない地盤に設けなければならない。
地震による損傷の防止(39条)
地震による損傷の防止(39条)では、以下のようなルールとなっています。
- 重大事故等対処施設は、次に掲げる施設の区分に応じ、それぞれ次に定める要件を満たすものでなければならない。
- 一 常設耐震重要重大事故防止設備が設置される重大事故等対処施設(特定重大事故等対処施設を除く。) 基準地震動による地震力に対して重大事故に至るおそれがある事故に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがないものであること。
- 二 常設耐震重要重大事故防止設備以外の常設重大事故防止設備が設置される重大事故等対処施設(特定重大事故等対処施設を除く。) 第四条第二項の規定により算定する地震力に十分に耐えることができるものであること。
- 三 常設重大事故緩和設備が設置される重大事故等対処施設(特定重大事故等対処施設を除く。) 基準地震動による地震力に対して重大事故に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがないものであること。
- 四 特定重大事故等対処施設 第四条第二項の規定により算定する地震力に十分に耐えることができ、かつ、基準地震動による地震力に対して重大事故等に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがないものであること。
- 2 重大事故等対処施設は、第四条第三項の地震の発生によって生ずるおそれがある斜面の崩壊に対して重大事故等に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。
津波による損傷の防止(40条)
津波による損傷の防止(40条)では、以下のようなルールとなっています。
- 重大事故等対処施設は、基準津波に対して重大事故等に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。
火災による損傷の防止(41条)
火災による損傷の防止(41条)では、以下のようなルールとなっています。
- 重大事故等対処施設は、火災により重大事故等に対処するために必要な機能を損なうおそれがないよう、火災の発生を防止することができ、かつ、火災感知設備及び消火設備を有するものでなければならない。
特定重大事故等対処施設(42条)
特定重大事故等対処施設(42条)では、以下のようなルールとなっています。
- 工場等には、次に掲げるところにより、特定重大事故等対処施設を設けなければならない。
- 一 原子炉建屋への故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムに対してその重大事故等に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがないものであること。
- 二 原子炉格納容器の破損を防止するために必要な設備を有するものであること。
- 三 原子炉建屋への故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムの発生後、発電用原子炉施設の外からの支援が受けられるまでの間、使用できるものであること。
重大事故等対処設備(43条)
重大事故等対処設備(43条)では、以下のようなルールとなっています。
- 重大事故等対処設備は、次に掲げるものでなければならない。
- 一 想定される重大事故等が発生した場合における温度、放射線、荷重その他の使用条件において、重大事故等に対処するために必要な機能を有効に発揮するものであること。
- 二 想定される重大事故等が発生した場合において確実に操作できるものであること。
- 三 健全性及び能力を確認するため、発電用原子炉の運転中又は停止中に試験又は検査ができるものであること。
- 四 本来の用途以外の用途として重大事故等に対処するために使用する設備にあっては、通常時に使用する系統から速やかに切り替えられる機能を備えるものであること。
- 五 工場等内の他の設備に対して悪影響を及ぼさないものであること。
- 六 想定される重大事故等が発生した場合において重大事故等対処設備の操作及び復旧作業を行うことができるよう、放射線量が高くなるおそれが少ない設置場所の選定、設置場所への遮蔽物の設置その他の適切な措置を講じたものであること。
- 2 重大事故等対処設備のうち常設のもの(重大事故等対処設備のうち可搬型のもの(以下「可搬型重大事故等対処設備」という。)と接続するものにあっては、当該可搬型重大事故等対処設備と接続するために必要な発電用原子炉施設内の常設の配管、弁、ケーブルその他の機器を含む。以下「常設重大事故等対処設備」という。)は、前項に定めるもののほか、次に掲げるものでなければならない。
- 一 想定される重大事故等の収束に必要な容量を有するものであること。
- 二 二以上の発電用原子炉施設において共用するものでないこと。ただし、二以上の発電用原子炉施設と共用することによって当該二以上の発電用原子炉施設の安全性が向上する場合であって、同一の工場等内の他の発電用原子炉施設に対して悪影響を及ぼさない場合は、この限りでない。
- 三 常設重大事故防止設備は、共通要因によって設計基準事故対処設備の安全機能と同時にその機能が損なわれるおそれがないよう、適切な措置を講じたものであること。
- 3 可搬型重大事故等対処設備に関しては、第一項に定めるもののほか、次に掲げるものでなければならない。
- 一 想定される重大事故等の収束に必要な容量に加え、十分に余裕のある容量を有するものであること。
- 二 常設設備(発電用原子炉施設と接続されている設備又は短時間に発電用原子炉施設と接続することができる常設の設備をいう。以下同じ。)と接続するものにあっては、当該常設設備と容易かつ確実に接続することができ、かつ、二以上の系統又は発電用原子炉施設が相互に使用することができるよう、接続部の規格の統一その他の適切な措置を講じたものであること。
- 三 常設設備と接続するものにあっては、共通要因によって接続することができなくなることを防止するため、可搬型重大事故等対処設備(原子炉建屋の外から水又は電力を供給するものに限る。)の接続口をそれぞれ互いに異なる複数の場所に設けるものであること。
- 四 想定される重大事故等が発生した場合において可搬型重大事故等対処設備を設置場所に据え付け、及び常設設備と接続することができるよう、放射線量が高くなるおそれが少ない設置場所の選定、設置場所への遮蔽物の設置その他の適切な措置を講じたものであること。
- 五 地震、津波その他の自然現象又は故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムによる影響、設計基準事故対処設備及び重大事故等対処設備の配置その他の条件を考慮した上で常設重大事故等対処設備と異なる保管場所に保管すること。
- 六 想定される重大事故等が発生した場合において可搬型重大事故等対処設備を運搬し、又は他の設備の被害状況を把握するため、工場等内の道路及び通路が確保できるよう、適切な措置を講じたものであること。
- 七 重大事故防止設備のうち可搬型のものは、共通要因によって、設計基準事故対処設備の安全機能、使用済燃料貯蔵槽の冷却機能若しくは注水機能又は常設重大事故防止設備の重大事故に至るおそれがある事故に対処するために必要な機能と同時にその機能が損なわれるおそれがないよう、適切な措置を講じたものであること。
緊急停止失敗時に発電用原子炉を未臨界にするための設備(44条)
緊急停止失敗時に発電用原子炉を未臨界にするための設備(44条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、運転時の異常な過渡変化時において発電用原子炉の運転を緊急に停止することができない事象が発生するおそれがある場合又は当該事象が発生した場合においても炉心の著しい損傷を防止するため、原子炉冷却材圧力バウンダリ及び原子炉格納容器の健全性を維持するとともに、発電用原子炉を未臨界に移行するために必要な設備を設けなければならない。
原子炉冷却材圧力バウンダリ高圧時に発電用原子炉を冷却するための設備(45条)
原子炉冷却材圧力バウンダリ高圧時に発電用原子炉を冷却するための設備(45条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、原子炉冷却材圧力バウンダリが高圧の状態であって、設計基準事故対処設備が有する発電用原子炉の冷却機能が喪失した場合においても炉心の著しい損傷を防止するため、発電用原子炉を冷却するために必要な設備を設けなければならない。
原子炉冷却材圧力バウンダリを減圧するための設備(46条)
原子炉冷却材圧力バウンダリを減圧するための設備(46条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、原子炉冷却材圧力バウンダリが高圧の状態であって、設計基準事故対処設備が有する発電用原子炉の減圧機能が喪失した場合においても炉心の著しい損傷及び原子炉格納容器の破損を防止するため、原子炉冷却材圧力バウンダリを減圧するために必要な設備を設けなければならない。
原子炉冷却材圧力バウンダリ低圧時に発電用原子炉を冷却するための設備(47条)
原子炉冷却材圧力バウンダリ低圧時に発電用原子炉を冷却するための設備(47条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、原子炉冷却材圧力バウンダリが低圧の状態であって、設計基準事故対処設備が有する発電用原子炉の冷却機能が喪失した場合においても炉心の著しい損傷及び原子炉格納容器の破損を防止するため、発電用原子炉を冷却するために必要な設備を設けなければならない。
最終ヒートシンクへ熱を輸送するための設備(48条)
最終ヒートシンクへ熱を輸送するための設備(48条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、設計基準事故対処設備が有する最終ヒートシンクへ熱を輸送する機能が喪失した場合において炉心の著しい損傷及び原子炉格納容器の破損(炉心の著しい損傷が発生する前に生ずるものに限る。)を防止するため、最終ヒートシンクへ熱を輸送するために必要な設備を設けなければならない。
原子炉格納容器内の冷却等のための設備(49条)
原子炉格納容器内の冷却等のための設備(49条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、設計基準事故対処設備が有する原子炉格納容器内の冷却機能が喪失した場合において炉心の著しい損傷を防止するため、原子炉格納容器内の圧力及び温度を低下させるために必要な設備を設けなければならない。
- 発電用原子炉施設には、炉心の著しい損傷が発生した場合において原子炉格納容器の破損を防止するため、原子炉格納容器内の圧力及び温度並びに放射性物質の濃度を低下させるために必要な設備を設けなければならない。
原子炉格納容器の過圧破損を防止するための設備(50条)
原子炉格納容器の過圧破損を防止するための設備(50条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、炉心の著しい損傷が発生した場合において原子炉格納容器の過圧による破損を防止するため、原子炉格納容器バウンダリを維持しながら原子炉格納容器内の圧力及び温度を低下させるために必要な設備を設けなければならない。
- 発電用原子炉施設(原子炉格納容器の構造上、炉心の著しい損傷が発生した場合において短時間のうちに原子炉格納容器の過圧による破損が発生するおそれがあるものに限る。)には、前項の設備に加えて、原子炉格納容器内の圧力を大気中に逃がすために必要な設備を設けなければならない。
- 前項の設備は、共通要因によって第一項の設備の過圧破損防止機能(炉心の著しい損傷が発生した場合において原子炉格納容器の過圧による破損を防止するために必要な機能をいう。)と同時にその機能が損なわれるおそれがないよう、適切な措置を講じたものでなければならない。
原子炉格納容器下部の溶融炉心を冷却するための設備(51条)
原子炉格納容器下部の溶融炉心を冷却するための設備(51条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、炉心の著しい損傷が発生した場合において原子炉格納容器の破損を防止するため、溶融し、原子炉格納容器の下部に落下した炉心を冷却するために必要な設備を設けなければならない。
水素爆発による原子炉格納容器の破損を防止するための設備(52条)
水素爆発による原子炉格納容器の破損を防止するための設備(52条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、炉心の著しい損傷が発生した場合において原子炉格納容器内における水素による爆発(以下「水素爆発」という。)による破損を防止する必要がある場合には、水素爆発による原子炉格納容器の破損を防止するために必要な設備を設けなければならない。
水素爆発による原子炉建屋等の損傷を防止するための設備(53条)
水素爆発による原子炉建屋等の損傷を防止するための設備(53条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、炉心の著しい損傷が発生した場合において原子炉建屋その他の原子炉格納容器から漏えいする気体状の放射性物質を格納するための施設(以下「原子炉建屋等」という。)の水素爆発による損傷を防止する必要がある場合には、水素爆発による当該原子炉建屋等の損傷を防止するために必要な設備を設けなければならない。
使用済燃料貯蔵槽の冷却等のための設備(54条)
使用済燃料貯蔵槽の冷却等のための設備(54条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、使用済燃料貯蔵槽の冷却機能又は注水機能が喪失し、又は使用済燃料貯蔵槽からの水の漏えいその他の要因により当該使用済燃料貯蔵槽の水位が低下した場合において貯蔵槽内燃料体等を冷却し、放射線を遮蔽し、及び臨界を防止するために必要な設備を設けなければならない。
- 発電用原子炉施設には、使用済燃料貯蔵槽からの大量の水の漏えいその他の要因により当該使用済燃料貯蔵槽の水位が異常に低下した場合において貯蔵槽内燃料体等の著しい損傷の進行を緩和し、及び臨界を防止するために必要な設備を設けなければならない。
工場等外への放射性物質の拡散を抑制するための設備(55条)
工場等外への放射性物質の拡散を抑制するための設備(55条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、炉心の著しい損傷及び原子炉格納容器の破損又は貯蔵槽内燃料体等の著しい損傷に至った場合において工場等外への放射性物質の拡散を抑制するために必要な設備を設けなければならない。
重大事故等時に必要となる水源及び水の供給設備(56条)
重大事故等時に必要となる水源及び水の供給設備(56条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、次に掲げるところにより、想定される重大事故等に対処するための水源として必要な量の水を貯留するための設備を設けなければならない。
- 一 設計基準事故の収束に必要な水を貯留するものにあっては、当該設計基準事故及び想定される重大事故等に対処するために必要な量の水を貯留できるものとすること。
- 二 その貯留された水を、想定される重大事故等に対処するために必要な設備に供給できるものとすること。
- 2 発電用原子炉施設には、海その他の水源(前項の水源を除く。)から、想定される重大事故等の収束に必要な量の水を取水し、当該重大事故等に対処するために必要な設備に供給するための設備を設けなければならない。
電源設備(57条)
電源設備(57条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、設計基準事故対処設備の電源が喪失したことにより重大事故等が発生した場合において炉心の著しい損傷、原子炉格納容器の破損、貯蔵槽内燃料体等の著しい損傷及び運転停止中原子炉内燃料体の著しい損傷を防止するために必要な電力を確保するために必要な設備を設けなければならない。
- 発電用原子炉施設には、第三十三条第二項の規定により設置される非常用電源設備及び前項の規定により設置される電源設備のほか、設計基準事故対処設備の電源が喪失したことにより重大事故等が発生した場合において炉心の著しい損傷、原子炉格納容器の破損、貯蔵槽内燃料体等の著しい損傷及び運転停止中原子炉内燃料体の著しい損傷を防止するための常設の直流電源設備を設けなければならない。
計装設備(58条)
計装設備(58条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、重大事故等が発生し、計測機器(非常用のものを含む。)の故障により当該重大事故等に対処するために監視することが必要なパラメータを計測することが困難となった場合において当該パラメータを推定するために有効な情報を把握できる設備を設けなければならない。
運転員が原子炉制御室にとどまるための設備(59条)
運転員が原子炉制御室にとどまるための設備(59条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、炉心の著しい損傷が発生した場合(重大事故等対処設備(特定重大事故等対処施設を構成するものを除く。)が有する原子炉格納容器の破損を防止するための機能が損なわれた場合を除く。)においても運転員が第二十六条第一項の規定により設置される原子炉制御室にとどまるために必要な設備を設けなければならない。
監視測定設備(60条)
監視測定設備(60条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、重大事故等が発生した場合に工場等及びその周辺(工場等の周辺海域を含む。)において発電用原子炉施設から放出される放射性物質の濃度及び放射線量を監視し、及び測定し、並びにその結果を記録することができる設備を設けなければならない。
- 発電用原子炉施設には、重大事故等が発生した場合に工場等において風向、風速その他の気象条件を測定し、及びその結果を記録することができる設備を設けなければならない。
緊急時対策所(61条)
緊急時対策所(61条)では、以下のようなルールとなっています。
- 第三十四条の規定により設置される緊急時対策所は、重大事故等が発生した場合においても当該重大事故等に対処するための適切な措置が講じられるよう、次に掲げるものでなければならない。
- 一 重大事故等に対処するために必要な指示を行う要員がとどまることができるよう、適切な措置を講じたものであること。
- 二 重大事故等に対処するために必要な指示ができるよう、重大事故等に対処するために必要な情報を把握できる設備を設けたものであること。
- 三 発電用原子炉施設の内外の通信連絡をする必要のある場所と通信連絡を行うために必要な設備を設けたものであること。
- 2 緊急時対策所は、重大事故等に対処するために必要な数の要員を収容することができるものでなければならない。
通信連絡を行うために必要な設備(62条)
通信連絡を行うために必要な設備(62条)では、以下のようなルールとなっています。
- 発電用原子炉施設には、重大事故等が発生した場合において当該発電用原子炉施設の内外の通信連絡をする必要のある場所と通信連絡を行うために必要な設備を設けなければならない。
口コミ・評判は実際どう?【新規制基準の感想・レビュー】
ここではツイッターの口コミを順番にみていきましょう。
原発の新たな規制基準を正式決定 - NHK http://t.co/YC6yICat9b
— Nuclear_Feeds (@nuclear_feeds) June 24, 2013
原発の新しい規制基準では、原子炉などの重要な設備は、将来動く可能性のある断層などによってずれが生じるおそれがない地盤に設けなければならないと規定しています。
— Yoshitaka (@poppokun) November 20, 2014
【資料】「NO NUKES MAGAZINE」Vol.03 電気料金編7 新しい規制基準とその費用は?新規制基準を満たすのにかかる費用は、およそ1兆円超と言われています。この費用も電気料金に上乗せされます。 pic.twitter.com/NHMHRiePAw
— 赤旗国民運動部 (@akahatakokumin) June 28, 2013
田中伸男・国際エネルギー機関〈IEA〉前事務局長「安心のために安全を際限なく強化していくと無駄なコストがかかる、べらぼうに。それを他の国は心配して見てる。規制基準を不必要に強化することによって、他の国にもえらい迷惑を及ぼすようなことはしないでくれよと言っている。」#原発
— Noz (@NozomIndia) November 26, 2014
#news #学び
— JapanNewsFeeds (@JapanNewsFeeds) December 6, 2014
原発新基準 安全は守られるのか - NHK クローズアップ現代:
新たな規制基準に適合するため対策を進めてきた川内原発。 力を入れてきたのが、地震や津波に備えた1,300億円に上るというハードの強化です。.. http://t.co/Eth5uddsWc
柏崎刈羽原発の安全対策初公開http://t.co/DMVv56zVEH
— 野口里美 (@piposan2001) December 25, 2014
規制基準に基づき、免震重要棟に新たに設置された鉛製のカーテンや備蓄された防護服や換気フィルターなどが初めて公開
私は規制委員会が、不安定な地殻の上にある日本で、最低限いくつかは採算性を度外視しなくても再稼働に持ち込めるように規制基準を作るのが仕事だったはずだと思っている。
— Linden(林田)自由民主党から自由と民主主義を守って欲しい😰 (@LindenMesicku) December 24, 2014
【13/10/19平智之FBより①】「世界で最も厳しい規制基準を満たさない限り再稼働はない」と衆院本会議で安倍総理の答弁。その世界最高水準は私たちの命を守らない。世界最高水準とされるSTUKが義務化するコアキャッチャーを付けても原発は安全にならない。世界最高というのは錯覚と詭弁
— 平智之 禁原発bot (@bot_kingenpatsu) December 21, 2014
原発の規制基準が「世界で一番厳しい」といっても、あくまでも自称であり、業界比較に過ぎない。世界一安全なスカイダイビングとか、世界一よく当たる占いのレベル。本当に原発が安全になるのなら、損保会社に過酷事故保険を引き受けさせればいい。それを再稼働の条件にしてもらいたい。
— T.Sugenami (@SUGENAMI) June 23, 2013
原発の再稼働にあたって「世界一厳しい規制基準に従うべき」と。その基準は重要な「実効性ある避難計画の有無」を欠落させていて国際基準に追いついていないのを知らないのかしら→http://t.co/TUR1SneHE3
— 山下明子 (@akikosagacity) December 21, 2014
バックフィットもなく、30年前から行われている過酷事故対策も採用せず、避難計画はほぼ無視、というひどい規制基準を金科玉条としてしがみついているのが田中俊一・原子力規制委員長で、その基準を「世界最高として作ったから世界最高なんだ」と同義反復語で言い張るのが宮沢経産大臣。
— クリエネ(出口戦略なしの緩和がコロナ禍を引き延ばす) (@morecleanenergy) December 18, 2014
世界一と言うのは、永田町界隈ではと言う意味です。 "@kare3sui_R: そもそも世界一の規制基準と言う事自体が嘘八百だし。
— Kyrina07@こんな人たち (@kyrina07) December 10, 2014
RT@tachibana1967 @BlueEarth__ @sohnandae 世界一の規制基準で規制している「安全」だ、という論理は成立しない。"
#Nスペ 結構頑張ってね?<<「(これまでに解ったことをふまえ規制基準は新しくなっているがそれで本当に充分かの)検証は道半ば」「原発に絶対の安全はないという事実を見つめ続ける事は責務」(22:22)
— 五分の魂(略:ごぶた)〈原発汚染水はコスト大でも地上処理を:拡散抑止が第一〉 (@Go_buta) December 21, 2014
原子力の新規制基準は事故を想定した規制基準なのであって安全基準ではない。退化した基準に”新”をくっつけたものだ。_bot
— 善処中 (@sushi_jp) December 23, 2014
「まず大前提として、原子力規制委員会が『新しい規制基準をクリアしている』と判断した原発も、『安全な原発』ではないのです」 「そもそも、規制基準適合審査とは安全審査ではありません」
— 西原しげきbot(浜岡原発永久停止) (@shigechan_fan) December 29, 2014
何回も言ってますが、
— じゃけぇ (@kahjapie) December 28, 2014
規制基準適合審査に合格した原発でも事故を起こさないわけではありません。
決して事故を起こさない原発は世界中どこにも存在しません。
規制基準を作った当の原子力規制委員会委員長が「規制基準合格は安全を保障するものではない」と発言しています
新規制基準についての口コミを調べてみたところ、世界で最も厳しい基準や規制基準をクリアした原発の安全性などについての評判があることがわかりました。
本記事は原発の新規制基準施行後の最初の設置許可の情報を主に参考にしており、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
また、当サイトに掲載している情報は、万全の保証をいたしかねます。原発の詳細な情報は、必ず各電力会社または原子力規制委員会の公式サイトでご確認ください。